Andreas Blank (2022) Christoph Besold on confederation rights and duties of esteem in diplomatic relations. In: Intellectual History Review, 32:1, 51-70. https://doi.org/10.1080/17496977.2021.2001886 Blank先生は以前Paderbornに、今はオース…
今日は気分が悪くない。9月の終わり頃から次第に心身ともに落ち着きを取り戻した。長い学生生活、そして5年の非常勤生活で大学歴に体がすっかり順応しており、夏学期(春学期)と冬学期(秋学期)が始まる頃には一応帳尻を合わせたように調子が戻る。 気温も…
すでに夜中には15℃ほどまで気温は低下し、日本でいえば晩秋の薫が空気を充している。星々はこれまでの季節で1番美しく見える。見上げれば二十以上の瞬きがあり、それは日本の都市部ではみることのできない星空だ。そのためにどれがどの星座であったかを即座…
Aleida Assmann (1998) Der Sammler als Pedant. In: Aleida Assmann, Monika Gomille und Gabriele Rippl (Hg. ) Sammler - Bibliographie - Exzentriker. Tübingen (Gunter Narr) 1998, S. 261-274. 好古家という日本語としての表現は確かに古いのだが、17…
しばらく移動したりで忙しくしていたため更新を止めていた。基本的には大学図書館を訪れたり、資料の整理などに追われていたというのもあるが、結局ここ数日南西部国境近くまでローカル電車を乗り継いでフライブルクまで行ってきたわけだ。その目的は一つに…
前回の続き anti-optimization.hatenadiary.jp 多重決定overdeterminationという概念は、例えば因果的多重決定という使い方がされ、分析形而上学の議論やそれを用いた心の哲学などの議論では定番テーマの一つだ。少なくとも半世紀ほど絶えず議論されてきてい…
タバコが燃え、アッキガイから流れ出る夜、殻がさらさらと風に流れ、ぶらんこに腰掛けたお前の髪にかかる日中、枝を揃えるために太陽に晒された四肢、今は何も見えない、甲虫、六の足で梢に至って青空へ飛び去って、今は樹液が虚しくそこに夜更けを告げる時…
主語を省略するということを理解したとしても、そこで省略されているのは本来の主語ではない。そこに置かれているのは代名詞であり、発話されなかった代名詞に過ぎない。つまり、無音ないし無文字で表現されている、行内の隙間に存在する代名詞が可能なのは…
Twitterにポストしたものをいくつか説明を加えて 「定義:百科事典とは、人間が生きる中で学ぶ必要のある全ての領域、簡単にいえば、全世界を、一貫して体系化したものである」Johann Heinrich Alsted (1588-1638)が自らの7巻からなる "Encyclopedia" (1630)…
最近必要があって初期近代の薬事について調べている。戦乱絶えない時代にあって外科術と鎮痛効果の薬物は重要だ。Klerkのこの論文は、17世紀前半までにライデン大学で醸成されていた実験科学の風土において伝統的なガレノス主義薬理学(pharmacology)がどの…
読んだ本や論文、もしくは読む必要がありそうな本や論文をここに記録することにした。これまで無数に読んできたのだし、これからも無数に読むのだからこの記録に始まりも終わりもない。記事一つにつき一つ。これは決める。一日にいくつも更新することもあり…
「この概念は引用符をつけて用いられるのが通例である。」 Anschluss, der Genetiv Singular: AnschlussesNominativ Plural: Anschlüsse Grundform: anschließen この語は非常に重い歴史を背負わされた概念として用いられることもある。しかし一方で英語のco…
辞書は何度でも引くに値する、ローベルト・ヴァルザーの散文のごとく。 ungleichheit 形容詞として、外観や程度において同じでない様を表す。従って、unterschiedlich, verschiedenartig。用例は、zwei ungleiche Gestaltenなど。また方式やあり方の違いを表…
書き残すことをしなければ忘れてしまうことは無数にある。だが大事なことなら大抵覚えておくこともできるだろう。むしろ書き残すことは一旦忘れてもいいようにしておくこと、あるいはその事柄について、内省的な向き合い方をして、時にその場で得た以上の記…
大学、学生生活関連のツイートをたくさん見たので、そういうものについて雑感を書き留めておこう。 これとか 執筆者が「大学生を生徒と言う人」であると同時に、編集者もそこに疑問を感じない人だとして、その記事に書かれていることがどのくらい信頼できる…
外国語で生きていく必要がある時、つまり外国語での決して流暢になり切ることのないコミュニケーションを用いてなんと生きていく必要がある時、耳を貸してもらう二つの方法がある。一つは、やはりできる限り流暢なコミュニケーションが可能になるように会話…
この数ヶ月Twitterもあまり見る時間もなかったのだが、そうこうしているうちにTwitterから離れていく人々が増えていった。短文を適当に流したい気持ちもあるものの、そろそろ生み出すことに本腰を入れないといけないとも思うので、ブログに再び移行しようと…
何の関連性もない雑記 Twitterはますます殺伐としていて、それでも侮辱罪の成立は大して話題にもされていない様子であることに暗澹たる思いだ。人々はことあるごとに自分の発言権を奪われることに拒否反応を示す。自らの発言内容が肯定されたり否定されたり…
国立国会図書館で絶版となって入手が難しくなった資料およそ153万点をオンラインで閲覧できるようになったというニュース。 www.huffingtonpost.jp 利用には個人向けデジタル化資料送信サービスへの登録者(つまり国立国会図書館の「本登録者」)であること…
前回李の『AI世界秩序』について簡単なメモを作成した時に、たくさんの論点が頭をよぎっていったため、さてどこから書こうかという思いに至ったのだが、断片的であれ書こというわけで以下端書を残していく。 anti-optimization.hatenadiary.jp そうして考え…
Absent In Body 梅雨が近づいてきた。ついこの間立夏ではなかったのかと思うのだが、最近時間感覚が狂っている。1日は早くすぎるのに1時間がなかなか過ぎて行かないと感じているのだとすれば、それは憂鬱で体が思うように動かず、取り組むべきことになかな…
何の関連性もない雑記 毎日何かしら文献を読みまとめ、さらに何かしら文章を書き、構成を考えるということを繰り返している。このなかで最も頭を使うのは当然文献を読むことであるのだが、しかし文章を書くというのは最も困難なことでもある。これは身体との…
Prurient ドミニック・ファーノウ(Dominick Fernow, 1981-)はPrurient名義の他Vatican Shadowなどの名義で膨大なしかし高品質で新しく、重厚な作品を制作し続ける多作の天才と言える。自身のレーベルHospital Productionsもまた彼の元に集まった数々の才能…
何の関連性もないはしがき anti-optimization.hatenadiary.jp 相手の主張の価値を認めないことは、主張内容が誤りであったり不適切な推論に基づいていたりするなどして認識的価値を持たないことを示すことになる。しかし主張するという行為は、主張内容を伝…
何の関連性もないはしがき 誹謗中傷は日々絶えず現れる。特定のワードを禁止することは、悪質な差別扇動を封じたり、世の中に根強く残る偏見に対抗する上で一つの方策たり得るが、問題はそのような言葉を封じることが誹謗中傷を吐いてしまう人々の心のありよ…
ビル・ゲイツはもう終わりだろう。というより彼に代表されるようなシリコンバレーの創造性の神話に取り憑かれたカルチャーが、直に衰退していくことになるかもしれない。みてみろ、深圳を。いや本当に見るべきは北京の中関村ではないのか。いずれにせよ深圳…
Moderat, Modeselektor, Apparat youtu.be モデラート(Moderat)は2002年から活動を始め、2009年にセルフタイトルのアルバムModeratでデビューした。およそ7年もかかってようやく完成したこのアルバムはもちろん高く評価されることになるのだが、その頃のイ…
FJAAK , Modeselektor 2009年からベルリンを拠点に活動するテクノプロジェクト。名前の由来はオリジナルメンバーのフェーリクス・ヴァーグナー(Felix Wagner)、ヨハネス・ヴァーグナー(Johannes Wagner)、アーロン・レービヒ(Aaron Röbig)、ケヴィン・…
未来はもういらないのかもしれない。私にはもしかしたら過去だけがあればいいのかもしれない。そう思う時がある。私に取って過去は過ぎ去ったものではない。追想は懐かしむものではない。全ての記憶は、失われたものとして過ぎ去ることがない。 未来は未決定…
系外より飛来している鏃型の小惑星の航跡の計算が終わり、高確率で月の軌道に入るとわかった晩、私は夢で死別した恋人と海際のコテージのベランダに立っていた。「脳はうつろいやすい熱源なのに自発活動がポアソン分布に従うなんて奇妙だ」。私たちは議論を…