Prurient
ドミニック・ファーノウ(Dominick Fernow, 1981-)はPrurient名義の他Vatican Shadowなどの名義で膨大なしかし高品質で新しく、重厚な作品を制作し続ける多作の天才と言える。自身のレーベルHospital Productionsもまた彼の元に集まった数々の才能あるアーティストを世に送り出している。ノイズやインダストリアル、ダークテクノ、ハードコアを聴いている人ならば彼の名前を聞いたことのないはずがない。今更誰が紹介しようとするだろう。
彼の作品はどれひとつとっても素晴らしいのだが私が特に気に入っているのは2016年に制作されたUnknown Rainsと2015年に制作されたFrozen Niagara Fallsだ。
とはいえこれらの作品についてここでくだくだ語るつもりはないのだが、代わりに思い返せばPrurientなどのノイズ音楽を聴き込むようになったのは、確かに2013年あたりからだったはずで、その後少しずつ情報を仕入れながらBandcampなどで思い立ったように聞くことが増えたのだが、その頃多くを教えてくれたのが阿木譲のブログだった。
例えばこのUnknown Rainsについては以下の記事がある。
Prurient – Unknown Rains | 阿木 譲 a perfect day
阿木譲が昔何をしていた人なのかなどは後から知ることになる。確かに日本人の音楽愛好家で彼の名前を知らない人も、ある年代まではそういないだろう。とはいえ彼が激烈な暴力を愛の名の下で他者にぶつけ、そうして一旦表通りから姿を消してもなお、こうして優れた「消費者」として記事やステージでの活動を続けていたわけだ。
2018年に訃報を耳にした時、a perfect dayというタイトルが浮かんだ。