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Germanistik, Philosophie(Aufklärung, Phänomenologie, Logik), Biologie, Musik und Kunst

日記:2023年9月20日

すでに夜中には15℃ほどまで気温は低下し、日本でいえば晩秋の薫が空気を充している。星々はこれまでの季節で1番美しく見える。見上げれば二十以上の瞬きがあり、それは日本の都市部ではみることのできない星空だ。そのためにどれがどの星座であったかを即座に識別することもできない。ベランダに出ていつまでも空を見上げている。

 

 

この季節が好きだ。初夏と晩秋の、涼しく静まり返った夜に私は薄いブランケットをかぶって窓を開け放して本を読む。夜が美しい季節は決まっている。日本でもそうしたようにここでもそうする。ドイツにいても同じ。同じだろうか?同じではないかもしれない。そもそも私は10年以上そうしている。美しい夜には眠りが訪れない。この薫り、そして気温。そのせいで眠ることができない。心は静かに燃え上がっている。この穏やかな夜こそ物事を企み、現実的な夢を描き出すに適している。人々が穏やかに眠りに身を委ねるようなこの夜に、私はまだ怒りを、喜びを、憂いを、悲しみを、そして愉楽を手にする。一人でいられる。一人で、はるか東方で上がる戦火が治まるのを待っている。さらにはるか東の果てに潜む闇が祓われるのを待っている。待っているだけではない。私は読む。書く。

どこの町にも、どこの地域にも、どこの世界にも私の知らない人々が、この瞬間にも無数に自らの人生を生きているという事実、笑ったり眠ったりテレビを見たりインターネットを見たりトイレに行ったり食事をしたり愛し合ったり散歩したりイライラしながら残った仕事を片付けたりしているという事実、そしてある場所では夜を迎えある場所では朝を迎え、ある人は生を受けある人はそれを返している事実、ある生き物は犠牲となりある生き物は救われるという事実、海は白波をたて浜は洗われ、山では猿が叫び鳥が羽ばたき、火山が煙をあげ、氷河がとけ、はるか彼方では磁気嵐が吹き荒れ、そしてある星が生まれ、ある星が滅ぶという事実、メタンの氷が降るかと思えばダイヤモンドの塊が宇宙空間を彷徨っているという事実、あらゆる事実がいつでも心震わせる。夜、私は一人になって初めて事実を認識することができる。

そしてまた一つの事実も受け止めることができる。いつか、それがいつかは誰もわからない、いつでもいいというわけでもない、でもいつか結局私たちも離れてしまう。どのような形であれいつまでも一緒にはいられない。こうしてここで一緒に過ごした時間は、しかし決して過ぎ去っていくことはないだろう。どのような記憶も、私は気が緩むと即座に現実となってしまう。私はいつか、そのいつかがきた後に、君を探すかもしれない。全く忘れてしまうかもしれない。だがその忘却はあまりに鮮明な想起と共にある。矛盾する二つの状況を同じように記憶しておくことはできない。何かが失われた後、失われた過去を理解し、その後の時代を生きていくことができるだろうか。失われる前の記憶と失われた後の記憶が矛盾している時、どうして前者を取ることが許されないのだろうか。

時間。時間だけがこの矛盾を解消するだろうか。いや全く逆だ。時間こそがこの矛盾を引き起こす。時間の支配。時間が全て物事の秩序を独占しようとする。だが、そんなものはどこにもない。この独占は幻想に過ぎない。そのことに気づく時が来るだろうか。その時は私もこの世界にいるべきではない。夜、私は一人になって初めて空間も時間も一つではないことを理解する。

 

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