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Germanistik, Philosophie(Aufklärung, Phänomenologie, Logik), Biologie, Musik und Kunst

prosa

si j'ai bonne mémoire... #1

書き残すことをしなければ忘れてしまうことは無数にある。だが大事なことなら大抵覚えておくこともできるだろう。むしろ書き残すことは一旦忘れてもいいようにしておくこと、あるいはその事柄について、内省的な向き合い方をして、時にその場で得た以上の記…

je収你的rien

系外より飛来している鏃型の小惑星の航跡の計算が終わり、高確率で月の軌道に入るとわかった晩、私は夢で死別した恋人と海際のコテージのベランダに立っていた。「脳はうつろいやすい熱源なのに自発活動がポアソン分布に従うなんて奇妙だ」。私たちは議論を…

心象日記

近頃「日記」と題した独り言のような記事しか書くことができない。それにはさまざま理由はあるのだろう。何より全体へと心が向かっている。根底に降りていこうとしている。フィギュアに欠ける表現で申し訳ないが、私は今動きそのものになろうとしている。羽…

Backdoor of Car Damon

コーヒーが冷めてしまわないうちに飲み干すのが常なので、サーファー=劉の口なのかはいつも爛れていた。もう三日眠らずに彼はディスプレイを眺め、キーボードを叩き続けていた。彼がコードを休むことなく延々と書き続けていたのは、衛星映像から見つけ出し…

Cuticle of the Pear II

エメラルドが嵌め込まれた扉が一つあった。そこから少し離れた木陰で私はずいぶん長いこと待っていた。いくつもの昼と夜が過ぎていったのに雨は一向に止むことがなく、太陽は徐々に衰え、私は凍えていた。手足は感覚を失い、いよいよ私は木の根に座り込んで…

Cuticle of the Pear

A. その世界から抜け出したいか、君はレッドピルを飲むか。だがレッドピルは、この世の虚偽を暴き、真実の姿を剥き出しにするわけではない。そのような幸福eudaimoniaは君にも私にも無縁な話だ。この現実こそが、君が生きなければならない現実だから。 どの…

Mémoire du sommeil ≠ ( Name )

固有名を与えるという行為は、クリエイションの終端から新たな歴史性が始まる時点にある。にもかかわらず、固有名が理解されるのは、歴史が完結した後である。作者にあってもそれは同様である。名付けという行為が作者や制度決定者に与える特権性は、名付け…

帰還

ここは暗い、眼は決して慣れることがない。いくつもの雫がやさしい音色を立てて壁を這いずり回っている。岩肌はその痕跡をとどめ、古い層を剥き出しにしたり、新たな鍾乳石の線描が現れたりする。ここは蒸しているが、ひんやりとした憂鬱な光で満ちている。…

斑ら織の声

こんなことをしていては、こんなところにいては、こんな時には、という、知らず知らずに口をついてでる紋切り型が、自分を、心を、如何ともし難いほどに、冷えたまま強張った膝のようにしてしまう。そうであっても言葉が溢れてくるのに任せるべきであろうか…

仄暗い日々に

雨が降ったり止んだりを繰り返し、時間が過ぎていくのを数えている。一粒が可能な地平面と音域を累乗し、歪ませるほど空間は綺麗に色合いを変えていく。思い出がそこに溶け始め、みたことのない夢が若き日々を侵食し始める。気づけば夕闇に蹲る小さな家の片…

Mémoire du sommeil 7

14. April - 16. April 消してしまうか、消えてしまうか、私の鼻先の景色。町に出れば空が覗く、空いた道が伸びる、中層の雲が落とす影に響く足音はない。 なお何かが足りない。言葉がやはり足りない。何もかもが何かを言っているのに、 時に言葉が朗々と響…

Mémoire du sommeil 6

7. April - 13. April 2020 日々の記録をつけることの虚しさに打ち勝つことはできない。そもそも虚しさに打ち消すことなどできない。だからお前たちの吐く言葉を否定することに、私は疲れてしまった。お前たちの存在を否定する毎に、私は自ら咥えた銃で、ズ…

Cloud Pattern Ruler 2

暖かな昼の明るさが公共に供されたこの彫刻に誘き寄せたのは、啓蟄を了えた渦巻く生命だけではない。本庄まな子の心根が、その表層を、そして深層を、厚みを超えて這い寄り、僅かな隙間から侵入し、最後にはこの物自体を頑健に維持する繊維となるように伸び…

spiritus et existentia 2

1. April - 5. April 2020 これもまた一つの日記である。 ✳︎ ✳︎ ✳︎ youtu.be ✳︎ ✳︎ ✳︎ 存在しない場所とは、「場所 place」として存在しないのか、空間的に存在し得ないのか、本当のところよくわからないものである。確かに原語のtopos という語からすれば、…

spiritus et existentia 1

土を捏ねて形作ることは、実際に手を動かしたことのある人ならわかることだが、単に粘土の状態を整えることで鋳型による適切な成型を可能にする工程とは全く異なり、遥かに複雑であり、遥かに土の性質に詳しくなければならない。 この世界で初めて土の性質を…

Bei Bingen: aus La Roches Reisebeschreibung

Sophie von La Roche 1730-1807 Sophie von La Roche: Tagebuch einer Reise durch Holland und England von der Verfasserin von Rosaliens Briefen. Offenbach am Main 1788. Die Städtchen und Dörfer, welche wir noch trafen, müssen ehmas besser gest…

Cloud Pattern Ruler 1

from Ludwig Goldscheider's book about Michelagelo 本庄まな子は、好きな科目は図画工作という、ありふれた子供時代を過ごした。決して器用だったわけはなく、また画才があったわけでもない。特別に訓練を受けたわけではないから、デッサンは崩れるし、ス…

Mémoire du sommeil 3

8. March 2020 現実は、それ自体現実であったことなどない。 ⁂ 雨の日のゴルフ場の暗さ、幅の広さ、長さ、遠さ、静けさ。人々の、マスクで覆われた顔、震える膝、ねじれる腰、フォロースルーの長々とした影。ジャコメッティの作品たちが持つ、艶やかで貧しい…

まざりなきかたち-Nはシャトルを撃ち、Wはシャトルを追う

まざりなきかたちを、わたしたちは探し求めてきた。聖なる器はまざりなきかたちの象徴であり、それだけがまざりなきかたちを、真実に受け容れることができる。まざりなきかたちは、言葉を超えた言葉、地上にあってはならない、わすれられてはじめてその表現…