poem
タバコが燃え、アッキガイから流れ出る夜、殻がさらさらと風に流れ、ぶらんこに腰掛けたお前の髪にかかる日中、枝を揃えるために太陽に晒された四肢、今は何も見えない、甲虫、六の足で梢に至って青空へ飛び去って、今は樹液が虚しくそこに夜更けを告げる時…
コーヒーが冷めてしまわないうちに飲み干すのが常なので、サーファー=劉の口なのかはいつも爛れていた。もう三日眠らずに彼はディスプレイを眺め、キーボードを叩き続けていた。彼がコードを休むことなく延々と書き続けていたのは、衛星映像から見つけ出し…
ここは暗い、眼は決して慣れることがない。いくつもの雫がやさしい音色を立てて壁を這いずり回っている。岩肌はその痕跡をとどめ、古い層を剥き出しにしたり、新たな鍾乳石の線描が現れたりする。ここは蒸しているが、ひんやりとした憂鬱な光で満ちている。…
イマヌエル・カントの『判断力批判』を引き継いだ議論、つまり第一批判と第二批判の橋渡しの試みを全面的に展開している、ヨハン・ゴットリープ・フィヒテの『全啓示批判試論』Veruch einer Kritik aller Offenbarung 1792 は、1793年の第二版のタイトルペー…
Alexander Pope: An Essey on Man (1732-34) An Essay on Man: And Other Poems - Alexander Pope - Google ブックス Barthold Heinrich Brockes: Hrn. B. H. Brockes, Lti, [...] Aus dem Englischen übersetzter Versuch vom Menschen, des Herrn Alexande…
こんなことをしていては、こんなところにいては、こんな時には、という、知らず知らずに口をついてでる紋切り型が、自分を、心を、如何ともし難いほどに、冷えたまま強張った膝のようにしてしまう。そうであっても言葉が溢れてくるのに任せるべきであろうか…
連なる、薄墨の山襞を、繋げられてある、珠の光が流れていく、熱に包まれ葉は影に染まり、小波をうけた貝のように唸りをあげる風を抱きこむ、小さき、卑しめられた木々はより集まり、絶えることなく、吹き返す、 人々の住う野が延びてゆく彼方へ炬火は消えて…
Meeresstille 海の静けさ Tiefe Stille herrscht im Wasser,Ohne Regung ruht das Meer,Und bekümmert sieht der SchifferGlatte Fläche rings umher.Keine Luft von keiner Seite!Todesstille fürchterlich!In der ungeheuern WeiteReget keine Welle sich.…
Friedrich Hölderlin aus Sämtliche Werke und Briefe Bd.1. Wissenschaftliche Buchgesellschaft. 1988. Das Angenehme dieser Welt… Das Angenehme dieser Welt hab ich genossen, Die Jugendstunden sind, wie lang! wie lang! verflossen, April und Mai…
14. April - 16. April 消してしまうか、消えてしまうか、私の鼻先の景色。町に出れば空が覗く、空いた道が伸びる、中層の雲が落とす影に響く足音はない。 なお何かが足りない。言葉がやはり足りない。何もかもが何かを言っているのに、 時に言葉が朗々と響…
7. April - 13. April 2020 日々の記録をつけることの虚しさに打ち勝つことはできない。そもそも虚しさに打ち消すことなどできない。だからお前たちの吐く言葉を否定することに、私は疲れてしまった。お前たちの存在を否定する毎に、私は自ら咥えた銃で、ズ…
暖かな昼の明るさが公共に供されたこの彫刻に誘き寄せたのは、啓蟄を了えた渦巻く生命だけではない。本庄まな子の心根が、その表層を、そして深層を、厚みを超えて這い寄り、僅かな隙間から侵入し、最後にはこの物自体を頑健に維持する繊維となるように伸び…
Erlkönig - Johann Wolfgang von Goethe, 1782 Wer reitet so spät durch Nacht und Wind?Es ist der Vater mit seinem Kind;Er hat den Knaben wohl in dem Arm,Er fasst ihn sicher, er hält ihn warm.Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht? –Si…
春は来るのだろうか、問いかける声は広く稜線に響いていた。けれどもCOVID-19は大きな葉を落とした広がりが残されていることを理解するようざわめいて、ぴりぴり皮膚に嫌な痕を残していく。 その身を、無意識を、晒すな、そして動かしてはならないと花冷えの…
Sophie von La Roche 1730-1807 Sophie von La Roche: Tagebuch einer Reise durch Holland und England von der Verfasserin von Rosaliens Briefen. Offenbach am Main 1788. Die Städtchen und Dörfer, welche wir noch trafen, müssen ehmas besser gest…
from Ludwig Goldscheider's book about Michelagelo 本庄まな子は、好きな科目は図画工作という、ありふれた子供時代を過ごした。決して器用だったわけはなく、また画才があったわけでもない。特別に訓練を受けたわけではないから、デッサンは崩れるし、ス…
夜毎、燃やされてしまった母たちの灰が積もる、水銀の蒸発してしまう静けさのなか、 雪が、重力波の深呼吸のなかで、舞いをやめ、身動ぎせず、 憂鬱に取り憑かれ、自然対数の行列表示に従って、六角をなし、枝を結晶していく。枝が結晶していく。 猟師たちは…