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Germanistik, Philosophie(Aufklärung, Phänomenologie, Logik), Biologie, Musik und Kunst

日記

今日は大学図書館に行けた。それだけで疲れた。だが必要な文献をいくつか借りられたし、久々に書架の間を行ったり来たりしてリフレッシュになった。今は夏休み中なので、学生はほとんどいない。おかげで快適かつ安心だった。

それでもののついでというか、この間閃いたことがあったので、関連して一応ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』を読んだ方がいいかなと思って上下巻借りてきた。差し詰め、ダイヤモンドたちに並ぶ、ビッグ・ヒストリーのニューカマー、いやそれどころかUniveral historyやDeep historyの第一人者なのかもしれない。話題にはなったが遠ざけていた。新しく登録された本の並びに偶然置いてあって楽々見つけることができた。しかし、夕飯後意気揚々とページをめくっていると、興味深いと思える独自性があまりないのように見える一方、今一つ納得がいかない記述が続く。

第一子の本は饒舌すぎる。そのせいで納得できない記述に変化している可能性がある。饒舌というのはつまり、断定口調で比喩を散りばめ、的確と言えない例え話や情景描写を挟むということ。そしてその割に必要な事実の積み上げが十分ではないように感じられる。また、主要な主張を支えるための虚構という概念が曖昧で、扱いもばらばらな印象を受ける。歴史的な差異も仕方なくという面もあるだろうが、バッサリいくので雑駁な議論という印象を受ける。

例えば第一章では気候変動・環境変化に伴うサルやヒトの仲間達の移動(migration)やmtDNAを通じた人口分散の過程の分析などに触れず、そのために食糧の問題について説得力ある議論が展開されているとは言えない。ただこれまでの知見を整然と書く、それでいて飽きさせないという工夫をするしかないのだろうが、ひとつめが十分なされていると思えない。

確かにこの本が一般向けに書かれていることは、この本のあり方をかなり決定しているのだろうから、小煩く詳細な記述を挟めば、本のボリュームは増大し、難解になり、読者は目減りすることになるだろう。もちろんこれほど野心的な本を書き上げ大ヒットさせたことは尊敬に値する。

この本が爆発的に売れたという事実、そしてAmazonでも古本が安くなっていない事実は、この本を買って(読んだか読んでないかは知らないが)書棚に据えられ続けていることを意味するだろう。新刊で買うことも考えたがそうしなくてよかった。

まあでもとにかく最後までざっと読んでみようと思う。感想が変わることもあるだろう。色々納得がいかない箇所があったところで、見るべき主張もあるかもしれない。

私も基本的にuniversal historyとかdeep historyに賛成しているとしか言いようがない研究をしていると思うのだが、しかし踏み切れないだけなのかわからないが、決して賛成はしていないと言いたくなる。ハラリのこの本を読んでもそう思ってしまう。

一応ひとつ歴史学者によるレビューを紹介しておく。

Bashford, A. (2018). Deep Genetics: Universal History and the Species. History and Theory57(2), 313-322.